「断熱等級6」がこれからのスタンダードに。高性能住宅の基準とは?

「断熱等級6」がこれからのスタンダードに。高性能住宅の基準とは?

2024/04/27 | タスクコラム 断熱改修

 

住宅性能で注目されるのが「断熱性」ですが、その指標を示す「断熱等級」と呼ばれるものがあります。2022年に新設された等級5・6・7の詳細や、断熱等級の調べ方についても解説します。


断熱等級が新設されて住宅はどう変わる?

断熱等級の正式名称は「断熱等性能等級」といい、「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」において国土交通省が制定しました。

断熱等級は1980年に「エネルギーの使用の合理化等に関する法律(省エネ法)」により定められた省エネ基準が反映されており、その内容は制定以降、改正が重ねられています。

現在国を挙げて「2050年カーボンニュートラル」に取り組んでおり、その一つに住宅の断熱性能を上げることで排出する炭素量を減らし、将来的な脱炭素化を目標にしています。

ところが現在の住宅の約90%が、省エネ基準に満たない住宅なのです。

※2021年国土交通省 社会資本整備審議会 建築分科会資料より

 

●カーボンニュートラルとは

温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させること

これに準じて「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(通称:品確法)では、2022年4月に等級5、同年10月に等級6・7が新たに設けられました。
国土交通省 住宅の品質確保の促進等に関する法律▶︎

断熱等級に関わる性能基準とは?

まず断熱等級を制定するにあたり基準となったのが、地域ごとの気候差を考慮して定められた「地域区分」です。

それぞれに地域の気候により必要な断熱性能が異なるため、気候条件に応じて国土を8つに区分し、区分ごとにUA値・ηAC値の基準値が設定されています。

●8つの地域区分

(例)
1地域 佐呂間町等
2地域  札幌市・旭川市等
3地域 盛岡市・青森市等
4地域 秋田市・山形市等
5地域 つくば市・仙台市等
6地域 大阪、東京等
7地域 鹿児島市・高知市等
8地域 沖縄

※引用:国立研究開発法人建築研究所 ▶︎
※参考:国土交通省 地域区分 ▶︎

 

UA値は「外皮平均熱貫流率」といい、外気に触れる住宅の壁や屋根、窓等の開口部から室内の熱がどのくらい外へ逃げやすいかを数値化したものです。
UA値は数値が小さいほど熱が逃げにくく、断熱性能が良い住宅(高断熱住宅)になります。

●「H28省エネ基準」

2016年(平成28年)に制定された「H28省エネ基準」は、2022年時点での省エネ基準の基本となっています。この基準では、外皮性能と一次エネルギー消費量の2つの基準から住宅の省エネルギー性能を評価しています。
参考:国土交通省 建築物省エネ法 最新の法令 ▶︎

●「HEAT20」

HEAT20とは、一般社団法人20年先を見据えた日本の高断熱住宅研究会の略です。大学教授や研究者、住宅・建材生産者団体などの専門家で構成されています。

HEAT20では「冬場の室内体感温度」に重きを置いているのが特徴です。

具体的には、暖房の省エネ性能と、冬期間の室内体感温度を10℃~15℃以上に保つことを基準とし、下記の地域区分ごとに基準を満たす程度によってG1・G2・G3のグレードを設定しています。

参考:高断熱住宅研究会 ▶︎

●ZEH(ゼッチ)

ZEH水準とは、ZEH住宅とするための外皮の断熱性能と一次エネルギー消費量の基準を定めたものです。

ZEHとは「Net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」の略のことです。年間の一次エネルギー消費量の収支をゼロとすることを目指した住宅を指します。具体的には、住宅の断熱性能の向上と高効率な設備システムの導入(太陽光発電など)により、大幅な省エネルギーを実現したうえで、再生可能エネルギー等の導入を行います。

ZEHに求められる断熱性能等級は「断熱等級5」です。
断熱等級5〜6を目指す場合は、16k高性能グラスウールで、150ミリの断熱厚以上が必須になります。

※参考:国土交通省 断熱等級 ▶︎


■断熱等級が高い住宅のメリット

「断熱等級6」が高性能住宅のスタンダードに

●快適な室内環境

外気の影響を受けにくいため、冬は暖かく、夏は涼しい室内環境で過ごせます。エアコンを効率的に使用できるので、快適な暖かさ・涼しさを保ちやすくなります。

●健康改善に期待

のどの痛み、手足の冷え、気管支喘息、アレルギー性皮膚炎等の症状が改善される傾向にあります。室内環境を快適にすることで、健康にも良い影響が見られます。

●ヒートショックのリスク軽減

ヒートショックとは、部屋ごとの気温差などにより血圧や脈拍が急激に変動することで起こる、心臓や血管の疾患です。特に脱衣所や浴槽内での発生が多く、場合によっては心筋梗塞や脳卒中にもつながります。高性能住宅にすることで、住宅全体の温度を一定に保ちやすくなるので、ヒートショックのリスクを抑えられます。


●節電・節約

外気の温度の影響を受けにくく室内環境を一定に保ちやすくなるため、エアコンの温度設定を弱めにしても十分な暖かさ・涼しさを感じられるようになり、これにより節電・節約につながります。
断熱等級を上げるためには初期コストがかかりますが、毎月の光熱費を抑えることが可能です。また節電は、電気をつくるために必要な化石燃料の使用量削減にもつながるので、地球環境にもやさしいといえます。

●補助金の活用

都道府県や市町村によっては、断熱対策を施行した住宅に対して補助金を受けられます。これは国が進める「2050年カーボンニュートラル」の実現に向けた取り組みの一環で、断熱対策を含む省エネ対策された住宅が対象です。
補助金の種類はいくつかありますが、条件や事前申請など準備が必要ですので、事前に工務店や建築士と連携し、よく確認しましょう。

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断熱等級を確認する方法

断熱材のいろは 断熱材の基準は?どこまで入れたら高断熱住宅になる?

断熱等級を確認したい場合は、住宅性能表示制度の活用を工務店や担当の建築士に相談しましょう。

注文住宅の場合、300㎡未満の新築住宅であれば、建築士から建築主(施主)へ省エネ基準(断熱等級4)の適否を説明するよう義務付けられています。

分譲住宅や中古住宅などの竣工後の建築物の場合は、不動産会社などに相談して住宅性能評価書を取得することで把握できる場合もあります。断熱等級を上げるためのリフォームを検討した方が良い場合もあるので、購入を決める前に確認しましょう。

 

姫路市は断熱等級6を基準に

2025年以降、断熱等級3以下の新築は建てられなくなり、2030年にはさらに省エネ基準が引き上げられ、断熱等級5が最低等級になる見込みです。

家族の健康維持や日頃の快適性に加え、地球温暖化に伴う猛暑日の増加、将来的な建物の資産価値も考えると、今後新築の家を建てる場合は、断熱等級6以上である「HEAT20」G2レベルを目指した方がよいでしょう。

すでにお住いの場合も断熱性は窓や壁、床、天井などの断熱改修で改善できます。なかでも窓は比較的簡単にリフォームでき、補助金制度も活用して取り組みやすい箇所になります。


断熱等級のまとめ

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基本的には姫路市が該当している断熱等級6での家づくりがおすすめです。
等級7になるとかなり壁などを分厚くしなければいけなくなり、材料費などのコストも嵩みます。
それでもより高性能住宅をご希望の場合は、お客様のご要望に合わせて施行することも可能です。

住宅の断熱性能に求められる水準は、時代の変化に伴い高まっています。今後、新築を建てる予定の方は、住宅性能と費用のバランスをみながら住宅仕様を検討しましょう。

 

 

 

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